発注者・施主
解体・改修工事を発注するみなさまへ
石綿は、吸入するとじん肺、肺がん、中皮腫などの原因となる可能性があることが知られています。2006 年(平成18 年)9 月から製造・輸入・使用などが禁止されていますが、それ以前に着工した建築物等には防火・保温・断熱等の目的で石綿が使用されている可能性があります。こうしたことから、ビルやマンション(RC 造、S 造)、戸建て住宅などの建築物等の解体・改修工事を行う場合には、工事の施工業者は石綿障害予防規則、大気汚染防止法など関係法令に定められたばく露・飛散防止措置等を講じる必要があります。
一方で、施工業者が関係法令に定められた措置を適正に講じるためには、工事の発注者となる建築物等のオーナーなどの皆さまにも、費用や工期等についての配慮や関係法令に定められた措置等を行っていただく必要があります。
解体・改修工事における発注者・施主の義務
建築物又は工作物の解体・改修工事の発注者となる方(施主・オーナーなど)は、工事に際して次の措置を行うことが義務付けられています。
■特定粉じん排出作業の実施の届出
吹付け石綿、石綿含有断熱材・保温材・耐火被覆材等が使用されている建築物又は工作物の解体・改修作業を伴う工事については作業開始の日の14日前までに発注者が地方公共団体へ特定粉じん排出等作業実施届出書を提出しなければなりません。
施工業者への配慮義務
建築物又は工作物の解体・改修工事を発注する発注者となる方(施主・オーナーなど)は、工事の施工業者に対して次のような配慮を行うことが義務付けられています。
■情報提供
- ● 工事を発注する建築物又は工作物の石綿の有無の調査(事前調査)が適切に行われるよう、石綿の有無を確認するうえで有用な情報(設計図書、建築確認申請の副本等)を施工業者に提供する等の配慮をすること
- ● 石綿除去等の工事を行う場合に、施工業者に義務付けられる作業の実施状況についての写真等による記録が適切に行われるよう、写真の撮影を許可する等の配慮をすること
■費用負担及び工事への配慮
- ● 事前調査の費用及び石綿が使用されていることが明らかになった場合における石綿除去等工事に必要な費用を適正に負担するほか、工期、作業の方法に係る発注条件等について施工業者が法令を遵守して調査・工事 ができるよう配慮すること
石綿(アスベスト)の事前調査費用の項目例
- ● 書面調査
- ● 現地調査
- ● 裏面確認調査
- ● 分析調査
- ● 総合調査報告書
- ● 諸経費(交通費他)
適正な工事業者を選定するために【参考】
石綿(アスベスト)の有無を適切に調査し、適法な工事を行う工事業者を選ぶため、以下のような事項を工事業者に確認することも重要です。
- ● 工事費用に、事前調査費が計上されていることや、石綿の調査を行う資格(建築物石綿含有建材調査者など)を持っているかを確認します。
- ● 事前調査終了後、石綿事前調査結果報告書の提出を求めましょう。石綿含有吹付け材(レベル1)、保温材等(レベル2)がある場合には、労働基準監督署に提出した計画届の写しを求めましょう。
※発注者は、これとは別に、地方公共団体への作業実施届出が必要です。 - ● 解体・改修工事後、石綿飛散防止措置が適切にとられたことを示す作業の実施状況の記録(写真を含む)の提出を求めましょう。施工業者による石綿含有の有無の事前調査や作業の実施状況の写真等による記録が適切に行われるよう、発注者は写真の撮影を許可する等の配慮を行いましょう。
石綿事前調査の適正な実施について~住宅オーナー等の工事発注者として知っておいていただきたいこと~
- 工事の発注者である建物のオーナー等の方に向けて、厚生労働省・国土交通省・環境省の3省が共同でリーフレットを作成しております。石綿対策に関する重要な内容がまとめられていますので、ご確認ください。
吹付け石綿への対応について【参考】
建築基準法では、建築物の最低限の安全性を確保するため、吹付け石綿等について、増築等の改修時における除去または飛散防止措置の実施を義務付けています。この吹付け石綿等が施工されている建築物は解体・改修等の機会によらず、速やかに対策を行うことを推奨します。
※建築基準法において規制対象とする吹付け石綿等に対しては、地方公共団体が調査および除去等の費用の一部を補助している場合があるので、お近くの地方公共団体にご相談ください。
- 発注者の義務に関する資料はこちらの 発注者向け改正石綿則のリーフレット をご覧ください。
- 補助金制度については こちらをご覧ください。